留袖裏地の茶色シミの染み抜き

「長い間タンスに仕舞い込んで見ていなかった留袖の裏地に茶色くシミが出来
てしまった」との相談です。
保管中にできてしまう黄色いシミには3つのパターンがあります。
①湿気が原因
湿気が原因で黄色いシミが星のように点々とできます。酷くなると着物の広  範囲
にできます。
②汗や皮脂が原因
衿元や袖口など直接肌に触れる部分は汗をかかなくても皮脂汚れがついき時間の
経過で黄色くシミに
なります。
③①②以外、食べこぼしなどが原因
食べこぼしもそのままにしておくと茶色く変色してしまいます。食べした汁が着物の
地色より薄い場合は乾くと分からい場合があります。
食べこぼしに気づかず、時間の 経過で茶色く変色します。

今回ご相談の留袖です。
留袖のヒヨクに濃い茶色の輪郭がはっきりしているシミです。

  

実際に留袖を見ると上記③のケースのようです。
シミがヒヨクのこの部分だけに付いていてシミの輪郭がはっきりしているので何の
シミかは分かりませんが着た際に知らぬ間に付いた汚れが酸化し間に茶色くなっ
たシミと分かりす。
似たような黄変シミでも①の湿気が原因のカビによる黄変の場合はこのようにシミ
が鮮明と言うよりシミの輪郭がぼやけて見えます。
②の場合は汗や皮脂汚れなので衿元や袖口、脇や胸元と限られた箇所に黄変シミができます。

下の写真を見て頂ければ分かりますが、シミ抜きで留袖ヒヨクの生地に傷が出来なよ
うに時間を掛けて少しずつ作業を繰り返してキレイに落としました。

染み抜き作業後の写真

           

「着物を着た際は、汚れがないか良く見てしっかり虫干しをしてタンスに入れている」との事ですが虫干しはクリーニング済みで保管中の湿気やカビの予防として行うお手入れです。
着物についてしまった汗や皮脂、食べこぼしが落ちる訳ではないので変色を予防するものではありません。
今回のシミは付いて直ぐは透明で見付け難くく乾くとハット見では分からない汚れです。
分かり易い例としてリンゴの皮を剥いて直ぐの時はキレイなリンゴの身ですが時間が経つと身の表面が茶色くなります。
これは空気に触れてたリンゴの身の酸化が始まり茶色変色して行きます。
着物の場合は時間が掛かりますが同じことが起こります。

染み抜き作業前           染み抜き作業後

              

着物に付いた無色透明な汚れは乾いてしまえばプロの染み抜き職人でも見つけるのは大変です。
今回のように白地の正絹に時間が経って酸化した濃い茶色のシミは染み抜きしても薄ら残る事があります。
何度も染み抜きと中和を時間を掛けて繰り返すことでキレイにすることが出来ました。