今回は、数十年前にご購入されたルイ・ヴィトンのアルマバッグのクリーニングご依頼をいただきました。長期間の保管により内側のキャンバス地にカビが発生し、カビ臭も強くなっていました。また、ヌメ革部分にもシミや持ち手の擦れやシミが見られ、風合いを損なわずにクリーニングしたいとのご希望でした。
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ヌメ革は非常に繊細で、特に30年以上経過したシミは頑固なケースが多く、完全に除去することは難しい場合もあります。また、無理な染み抜きや色補正を行うと、革本来の味わいや風合いが損なわれ、バッグの価値を下げてしまう恐れがあります。
当店では革の特性を最大限尊重し、あえて色修正を行わず、クリーニングでできる限りシミを薄く目立たなくしつつ、ヌメ革本来の自然な風合いを保つ方針で仕上げております。
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バッグ内部のカビは、専用のカビ除去処理と抗菌処理を施し、カビ臭も徹底的に除去しました。ご自身での陰干しでは落ちないカビ菌や臭い成分も、プロの技術でしっかりケアしております。
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ヌメ革のシミ部分の乾燥と栄養不足による繊維化が見られましたので栄養と補強兼ねた薄い色の付いた保護クリーム処理しています。
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職人からの一言
ヌメ革についたシミに色を塗ってシミを隠す方法をするリペアショップもありますが、私の場合は
ヌメ革本来の自然な質感を大切にしていますので色でシミを隠すことはしません。
それは、ヌメ革本来の革質を損うと同時にルイ・ヴィトンの価値を無くすことと考えております。
多少のシミや汚れは人間もヴィトンバックや革ブーツも同じで「あじ」だと思ってます。
ヌメ革に出来たシミを衣類のように完全に落とすのは非常に難しいことです。
お客様からヴィトンヌメ革のシミ抜き相談の際は、「染み抜きしても完全にキレイに落とせるとは限りません。写真のようにシミが薄く残る場合もあります。」とお答えしております。
ルイ・ヴィトンなどの高級バッグのカビやシミでお困りの際は、ぜひ当店にご相談ください。、ブランド品の価値を守りながら丁寧にクリーニングを行います。
